わさびの基礎知識
古くから私たち日本人の食卓で親しまれてきた「本わさび」。“植物”として専門的な見方をすると、アブラナ科Eutrema属に分類され、学名を「Wasabia japonica Matsumura」と言います。学名に日本を意味する「japonica」がつけられているように、本わさびは日本原産の植物と言われています。研究の進化によって植物の分類や原産地の推定が変わることがありますが、最新の葉緑体ゲノム解析でも、「Wasabia japonica」は日本固有種であることを裏付ける結果が出ています。 本わさびはなかなか奥が深く、まだあまり知られていない知識がたくさん詰まっていそうですね。このコラムでは、そんな「本わさびの知られざる秘密」をお届けしていきます。
わさびの基礎知識
第五回 美味しい本わさびの選び方と保存方法
生の本わさびを購入する際、品質がよく美味しいものを選びたいですよね。今回は、美味しい本わさびの見分け方と、1回で食べきれなかった場合の保存方法をご紹介します。
美味しい生わさびの選び方
実際に食べる部位となる根茎の新鮮さが第一です。茎の部分にしおれがなく、みずみずしい鮮やかな緑色のものが良いです。中太で、根もとから茎が付いている上の方まで同じくらいの太さで、円柱形に近く、大きくなくても手にした時にずっしりとした「重み」があるものを選びましょう。また、成長速度がゆっくりなほど、肉質が緻密で美味しくなるため、茎や花芽の脱落根(いぼいぼや目と呼ばれるすじ)の間隔が狭く、きれいに螺旋状に並んでいるものが良いでしょう。
本わさびは、おろした時に適度な粘りがあり、辛味と香りのバランスが良く、後味に甘味を感じるものがよいとされています。墨入り病に侵されたものは、表皮から深部にかけて黒く変色しています。このようなものは、すりおろした時に、全体が黒みを帯び、辛味も少なくなってしまうことがあります。
美味しいわさびの選び方Q&A
Q1 生の本わさびはどこで買ったらいいの?
A1 最近は、百貨店やスーパーマーケットの青果売り場でもよく見かけるようになりました。鮮魚売り場などでも売られていることもあります。また、インターネットでの販売も行われています。生わさびの大きさや価格は様々です。
Q2 季節によって味は違うの?
A2 本わさびは一年中市場に出回りますが、季節によって風味が異なります。冬場は辛味が強いのですが、春先から夏場にかけては、花を咲かせたり、生長のために栄養分が使われているため辛味は少し弱まります。
Q3 国産本わさびの味や特徴は?
A3 国産の本わさびは、海外産と比べ、四季の寒暖差に鍛え抜かれており、豊かな香りを持つのが特徴です。
Q4 美味しい生わさびの保存方法は?
A4 生わさびを一度に使いきれない時には、水気をふき取って、乾いたキッチンペーパーに包んで、野菜用保存袋やポリ袋に密閉して冷蔵庫にしまっておくのがおすすめです。1カ月程度を目途に使い切りましょう。
水気をふき取る
乾いたキッチンペーパーに包む
保存袋に密閉していれる
冷蔵庫にしまう